2012年9月3日月曜日

結婚式




自分の年齢のせいもあると思うが、あまり結婚式に出席することのない私。
昨年、友人のエミちゃんとジャズドラマーのトマーゾの結婚式に出席したのがなんと6年ぶりだった。
何故か私たちの周りには結婚する友人が少ない。
パリデとエリーザのカップルは既に付き合い始めて17年にもなろうと言うのに、特に彼の方に結婚する気が全く無い。それでも二人の関係は円満なのが救いだ。
考えようによっては、結婚することよりも、カップルの関係が上手く行き続ける方が重要だとは思う。でもエリーザが早く結婚したい、と思っているのも女の私には分かるのだよなぁ。

そんな中、久しぶりに結婚式に出席した。

先週の土曜日に、私がパドヴァに移り住んでから知り合い、年齢差を超えて(彼女は30歳!)仲良くして来たロッサーナが、彼女と知り合った当時から付き合っていたドメニコと結婚式を挙げた。

彼らカップルとはウマが合い、山での休暇も何度も一緒に行ったのを始め、私がオペラに出演したオーストリアの田舎町まで聴きに来てくれて、そこから一泊旅行でプラハへ遊びに行ったり・・・。
と、振り返ると本当に色々な時間を一緒に過したのだ。
私にとっては妹のような親友のような子分のような、本当にかけがえの無いロッサーナの結婚式は、言葉ではちょっと言い表せない喜びであった。

教会での式ではもちろん歌った。
Ave verum corpus、Panis Angelicus、そして最後にマスカーニのAve Mariaを。
オペラ好きなロッサーナは『O mio babbino caro』とか歌って欲しい、と冗談交じりに言っていたが、教会のきまり(式を司る神父の意向も大きい)には逆らえない。
現代的な彼女も、結婚式は家族の強い希望に従い教会で式を挙げる事に決めた。
この辺はまだまだカトリックの精神というか、宗教に重きをおくイタリアの風習は根強いようだ。

夫はオルガン担当なので、二人でまだ誰も居ない教会に行き、音響チェックを済ませてから、ロッサーナの家へ向かった。
イタリアでは式が始まる前に花嫁の自宅で軽食を振舞う習慣があるのだ。
これは、遠方からはるばるやってくるお客さんの為のものだそう。
出席者が腹ごしらえ!?

すっかり身支度を整えたロッサーナの晴れやかな笑顔が私たちを迎えた。
彼女を良く知る私だったが、余りにも普段どおりに冗談を飛ばしているのには驚いた。
しかしその笑顔は、心の底から幸せそうでだった。
式の前々日に、曲目の最終打ち合わせで電話をした時に、「式に向けての準備は、想像以上に大変で、両親や証人のエリーザが居なかったら私は明日教会にパンツ一丁で行っていたわ」と大笑いをしていた。
でもそこには、周りの人に対する深い感謝の気持ちがあるのを感じた。
そんな事を思い出しながら、結構ウルウル来そうになった私は、夫を促して一足先に教会に戻った。
準備完了!

参列客が教会に来る頃にはオルガンを弾いて雰囲気を盛り上げるのも大事なこと。
そのうち花婿のドメニコが、これまた満面の笑顔で現れた。
写真を撮ったりしているうちに、やがて花嫁を乗せた車が到着。私は夫がタイミング良く結婚行進曲を弾き始められる様に合図を出す役目。

やがて花嫁がパパと腕を組んで入場し始めた。
この瞬間、私は胸が一杯になって涙ぐんでしまった。
これから歌を歌わねばならないのに、これはまずいっ!!

神父が入場して式が始まった。
第一声、神父の言葉のお陰で、決壊しそうだった涙は引っ込んだ。

「今日のよき日に、ドメニコとロッサンナの結婚の儀を・・・」

ロッサンナ?

お年寄りだし、読み間違えたのかな、と思っていたが・・・。
結局神父は式の間に何度も読み上げるロッサーナの名前をずーーーーーっとロッサンナと呼び続けた。
その度に「だから違うんだってば」とブツブツ呟いていた私。
そのせいか、ロッサーナ自身もなんだか緊張もせずにニヤニヤ笑っている。
私が1曲目を歌い終えたらこっちをみて「グー」の合図を送ってきた。

神父のお陰か、終始にこやかに式は終わった。
晴れて彼らは夫婦に!



その後はまずお昼の部の食事会。
こちらは証人などを務めた友人達と家族親戚縁者などが出席しての、ちょっとかしこまった会。
私達を含む、大部分の友人は夜の夕食会に出席する事にしていたので、一旦彼らに別れを告げて帰宅した。

夜8時半に丘陵地帯にあるレストランへ。
夜の部は完全に気心の知れた友人や仕事仲間が集まっての大騒ぎ。
とは言え、美味しい料理とワインも振舞われ、楽しく盛り上がった。
ここで結婚式でお約束の「新郎新婦の生い立ち」ビデオの放映である。
これは証人を務めた友人のアンドレアが制作したもので、彼らの小さい頃からの写真を色々と集めてビデオにしたもの。
彼らととにかく良く一緒に旅行をした私たちに、なにか「お宝写真」はないか、と訊いて来たので探したらあるある・・・!
プラハで大ジョッキビールをいくつも並べてご満悦の顔や、朝の10時半に朝食代わりにビッグマックをかぶりつく写真(腕時計の証拠付き。笑)、ドロミテの岩山にへばりついて登る写真、寝起きで髪の毛が全て逆立っている写真・・・ビデオのかなりの箇所で私たちが撮った写真が出てきて、改めて彼らとの関わりの深さを再認識した。
どのシーンも「あ、あの時の!」とすぐに思い出せるのは、本当に楽しかったという事だなぁ、と思いながら観ていた。

今日新婚旅行のマルタ島へ旅立った二人。
ロッサーナが今朝電話をくれて、式の日は4時に帰宅したこと、とても楽しかったこと、翌日の昨日は頭痛で死んでいたことなどを話してくれた。
旅行から帰って、落ち着いたらご飯でも食べようね、と言って電話を切った。
今頃飛行機の中で爆睡していることだろう。

いつまでも仲良く楽しい二人でいてね。
心から、おめでとう。


2 件のコメント:

  1. なんて素敵!映画のワンシーンを・・・。
    お花のきれいなこと。
    ああ、私たちが行ってるときにもこんな素敵なイベントないかなあ!

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  2. 結婚式はいつ出席しても幸せのお裾分けをしてもらえる気がします。
    残念ながら、この先結婚する友人の予定は・・・1年後に一組あるかなぁ。

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