理由は生徒達の行うカフェ・ペドロッキでの月末のコンサートのせいなのだが、こればかりは私自身も始めての経験なので、気持ちのどこかがいつも焦っている気がする。
そんな中で、ちょいと野暮用が出来てリグーリア地方へ一泊旅行する事になった。
小さなオーディションで、滅茶苦茶忙しい時期ではあったが、たまにこういう事をしなければ自分の勉強をしなくなってしまうので、気分転換も兼ねて夫と出かけた。
高速に乗った途端、途中で事故の為に一区間が通行止めという情報が入る。地図を見て、その区間を避けて一般道を使って行く事にした。
夏はどうも事故が軒並み増える気がするイタリア。みんな暑くてボーっとするのかもしれない。
選んだ一般道は見事な畑の真ん中を突っ切る一本道。渋滞はないが、藁を一杯に積んだトラックの後ろなどをのんびりと走る羽目に・・・。まぁ、急ぐ旅でもないのだけど。
しかしこの迂回で私たちはとても美味しいランチを食べる事が出来たのであった。
お昼時間になり、街道沿いには目ぼしいお店も見当たらず、キョロキョロしていたところ、「Trattoria→」と書かれた小さな看板を見つけた。今から思えば、草が伸び放題の路肩のこの小さな看板を、車を運転しながら良く見つけたもんだ、と思う。こういうのが縁というのだろう。
更に狭い田舎道へ右折してしばらく行くと、La Corteと書かれた看板のトラットリーアが現れた。
門から中に入ると気持ちの良い広い庭が広がり、良い雰囲気のテラス席が並んでいる。
La Corte |
しかしとても暑かったので、冷房の効いた店内に入った途端「ここは当たりだ」と直感した。
四柱推命だったか、九星占いだったかで「食神」がついているらしい私は、とにかく美味しい物を食べるのも好きだが、美味しいお店を見つけるのも結構上手い。
店構えや雰囲気にピピピと来るのだ(聖子ちゃん並)。
魚介のラグーのパスタ |
色々な野菜料理のビュッフェ |
帰宅して調べたら、夜はかなり素敵なメニューが揃っているらしい。行ってみたい、夜に。
ただ問題はうちから150km以上離れているってこと・・・。泊まりか?
さて、その後は順調にドライブ、夕方には目的地のBalestrinoという小さな町に辿り着いた。
この家並みは実は全て廃墟 |
リグーリア州は海に面して広がっているが、平野部が少なく、海岸線から10kmも内陸に向かうとすぐに山間部になってしまう。オーディションが行われる街は海沿いにあるため、ホテルもハイシーズン料金となっており、少し不便と思われるこの町の宿を予約したのである。車があればどこへでも行ける。
フリットミスト!!! |
まずとにかく涼しい。猛暑に襲われていたイタリアで、寝苦しい夜を過していた私には神様の贈り物のように感じた。お陰でグッスリと眠れて、翌朝は絶好調であった。
小さなホテルはレストランも営業しており、夕飯もここで頂いた。
私は海の幸のフリット盛り合わせを地元の発泡白ワインと、夫はリグーリアの代表的パスタTrofie al pesto con fagioli e patate やウサギ肉料理にデザートまで、珍しく食べまくっていた。
イタリアの簡単な朝食 |
グッスリ眠った朝の朝食をテラスで景色を眺めながら済ませ、
荷物をまとめて早々に出発。オーディションの行われるAlbengaという街へ向かった。
アルベンガ |
私がオーディションを受けている間に、街を散策して来た夫は、昼食のお店もチェックしてきていた。
珍しく絶好調で歌って、良い気分で街へ繰り出した。ちょうどお昼ご飯の時間だったので、夫の見つけたお店Da Puppoへ。
Da Puppo 店内 |
これ、絶品。 |
パスタ料理がないのが残念だったが、鰯のマリネ、カジキマグロの燻製のカルパッチョ、トマトのたっぷり載ったブルスケッタなど、食べたいものをあれこれ選んでみた。
どれも新鮮で、海のそばに来たことを実感できる味ばかりだった。
おなかも一杯になったところで家に向かって出発。帰りは渋滞も事故もなく、順調に家まで辿り着いた。
さすがに疲れたけど、楽しい旅行だったので満足。
それにしても、ドコへ行っても美味しい物にめぐり合えるイタリア。本当に奥が深い・・・。
そして痩せるわけがない。