気がついたらイタリアは春満開。
桜か梅か桃か分からないけど、木々は一気に芽吹き、花が咲き始めた。
土手も緑で覆われている。
青空の色が、同じ青でも少し違う。
春なのだ。
先々週、ある仕事の依頼を請けた。
偶然にも今年勉強しようと思っていたオペラ「
ノルマ」の重唱を歌う仕事である。
依頼人は音楽院の大学課程で勉強している学生(と言っても、この新しい過程は大学卒業資格を求める大人がほとんどらしい)で、彼女は試験でアダルジーザのパートを歌うため、アンサンブルを一人で歌うのではなく、共演者(ノルマとポリオーネ役)を用意して試験に臨む事にしたようだ。
彼女の知り合いである私の友人テノール(ポリオーネを歌う)を介して依頼された。
私自身もこのオペラを勉強するチャンスであるから喜んで引き受けた。\(^o^)/
とは言え、試験日は26日だということで、約2週間で仕上げなければならず、大急ぎで勉強を始めると同時に、26日は月曜日なので音楽教室の方も補講の計画を立てて、生徒達にも連絡して万端整えた。
依頼人はミラノに住んでいるようだが、私もテノールもヴェネツィア周辺に住んでいるという事で彼女が先週末にリハーサルをしに来る事になっていた。
あいにく私は生徒の発表会を日曜日に企画していたので、生徒達に前日の午後は発表会の練習は出来ないと言っておいたのだが、水曜日に依頼人から電話があり、「膝を痛めて運転が出来ないので、リハーサルは翌週末に延期してくれ」とのこと。
てことは試験の直前だな、大丈夫かな、と思いつつも了承した。
今から思えば、この時に少し疑うべきだったのだ・・・。
しかしながら、この予定変更のお陰で発表会の練習をしっかり出来たので、日曜日の会は思った以上に良い演奏になった。
生徒達の成長には目を見張るものがあり、ますます教えるのに力が入りそうだ。
それぞれが何か進歩しているのが、私だけではなく観客にも分かるようで、演奏の後のパーティーでは皆にたくさん誉めてもらって生徒達も嬉しそうであった。
次のステップに向けて、どう導くべきかを彼らの演奏を聴きながら考えた。
より良い声を出す事だけではなく、音楽的なフレージングの勉強にも力を注がなくてはと気づいた。
教える事で自分が学ぶ。全くこの通りである。
さて、「
ノルマ」の話にはまだ続きがある。
昨日の朝、彼女から携帯にメッセージが届いた。
今週末に延期したリハーサルを「
31-1日に決めましたので、ご都合をお知らせ下さい」と。
私は固まった。
26日に試験じゃないのかぁぁぁ~!?
速攻で返事を送り、「26日だというお話でしたので仕事の都合とかつけたのですが、一体いつになったのですか?」と尋ねたところ、「学校の都合で6月になりましたので、
これでしっかり準備が出来ますね」ときた。
腹が立つのを通り越して脱力した。
準備がしっかり出来ることにはなんの異存もない。こちらも望むところである。
しかしそれ以前になにか大事な事が間違っていないか?
順番が違わないか?
・・・良く知らない相手に感情をぶつけるわけにも行かないので、ぐっと堪えた。
それから、急いで月曜日の生徒に「来週の月曜は予定通りレッスンをします。混乱させてすみません」。・゚・(ノД`)・゚・。というメッセージを送ったり電話をしたり。
6月にこの仕事が無事に終わる事を祈るばかりである。╮(•́ω•̀)╭