2012年9月30日日曜日

トルコの日々。その5

公演を見守るスタッフの目線はこんな感じ?

今週も、曜日の感覚がないうちに過ぎてしまった。
昨日、私の組のゲネプロが終わり、いよいよ明日が初日だ。
私は明日の公演が終わったら、翌日早朝(5時!)の飛行機でイタリアへ帰る。明日は慌しく過ぎることだろう。

今週はオーケストラと一緒に、最終的な通し稽古が続いた。
オケと歌うのは大変に気持ちが良いけれど、物凄く神経も使う。ピアノ伴奏とは全く違う”音の幅”の感覚のようなものを研ぎ澄ませて臨まないと上手く行かない。
もちろん指揮者が居るのだけれど、舞台の上ではいつも彼を見ていられるシチュエーションとは限らない。
何度歌っても、気をつけなくてはいけないところはたくさんあるし、歌い慣れてしまったことで思わぬところでテンポを数え間違えたりしていることを指摘されて慌てたり・・・。
本当にオペラは生き物だなぁ、と思う事ばかり。
そんなわけで、思いのほか体力+気力も使った一週間が過ぎ、残すは本番のみ。
幸い、体調も良く、明日は一音でも理想に近い声を出すことを目標に、楽しんで歌いたいと思っている。

オペラは決して1人で作れるものではない。
このオペラでは私が主役で、たくさん歌う役だからと、どこで歌っても周りが本当に気を使ってくれる。
今回、このトルコという国でも、言葉が通じないながらも目が合うだけで彼らが私に気をかけてくれているのが分かる。衣装さんもメイクさんもかつら係りさんも小道具さんも・・・。
そんなスタッフやオーケストラ、合唱団、そして一緒に歌うソリストの全てに心からの感謝の気持ちを込めて、良い歌を歌うことが、私の出来る唯一の事だと思っている。
綺麗ごとではなく、どこの劇場へ行っても、本当に多くの人がそれぞれの持ち場で頑張ってくれている姿を目にすると、ライトを浴びて表舞台に立ち、拍手を受ける私は、彼ら一人ひとりの仕事の集大成なのだと思う。責任は重い。
しかし、だからオペラが好きなのだ。
オペラでは孤独感が無い。上手くいえないが、舞台に立っている自分は自分自身なのに、自分自身だけではないという感覚。
明日も、私の与えられた数多くの音を、一つ一つ心を込めて大切に歌おう。
演奏が終わったときに、劇場中が共有したその時間を幸せだと感じられるように・・・。

衣装・メイク付き通し稽古。
photo: Cansu Açikgöz




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トルコ日記、これにて終了します。
読んでくださってありがとうございました。
帰宅して一息ついたら、番外編を書きますっ!書きたいことたくさんあるしーーーー!
お楽しみに~♪

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