2012年8月24日金曜日

長い夏~その4 【ゴルデックでお勉強編】

お城からゴルデック湖を臨む


長いドロミテでのバカンスから帰宅して1週間後、今度はオーストリアのザルツブルグ州にあるゴルデックという町へ出かけた。
ミュンヘンで主にワーグナーのレパートリーを教えていただいているロイブル先生のプライベートコースに参加するためである。
この小さな可愛らしい村に先生は別荘をもっていらして、毎年夏に5日間の集中レッスンをされている。いつか参加したいと思っていたのだが、ようやく今年初めて実現した。

ゴルデック城
この街には12世紀に建てられたという小さな、でもとても保存状態の良いお城があって、コースの最後には参加者によるコンサートもあるので、私の密かな目標である「ワーグナーのアリアをドイツ語圏で歌う」という事も達成できるのではないかと、期待一杯&不安少々で参加した。

とにかく暑いイタリアでは練習をする気にもならなかったが、ここは本当に爽やかな気候で、レッスンを受けていても汗もかかない。かといって日中の日差しは強く、太陽の下では汗ばむのだが、夜は夜で肌寒いほどでとても良く眠れる。

勉強するには最適の環境である!

というわけで、5日間、先生の熱心なレッスンを受け、ピアニストと楽しく(笑)合わせをし、充実の日々を過させていただいた。

ワーグナーのオペラに関しては初心者の域をなかなか出ることの出来ない私だが、今回は先生に薦められるままに譜読みをした、『神々の黄昏』のフィナーレのアリア、Starke Scheiteと、とりあえず秋にコンサートで歌う予定のイゾルデのアリア、Liebestod、その他シュトラウスの歌曲を数曲持って参加した。
『神々・・・』のブリュンヒルデのパートはとても長くて大変で、全曲を歌うのは次の人生だな、と諦めているけれど、このStarke Scheiteは、音楽も素晴らしく、声的にも楽なのでとても楽しくレッスンしていただけた。次回またミュンヘンで聴いていただける時が楽しみである。

当然のようにコンサートではイゾルデとシュトラウスの歌曲を歌う事に決まり、もう一曲イタリア物をと言われてトスカのアリアを選曲した。
しかしコンサートの当日まで、とにかくイゾルデのアリアで頭が一杯の私だった。
歌詞の暗譜もだけど、この壮大な音楽に負けずに形にする事で必死だった。
もちろん最後までスタミナ切れせずに歌いきることも。
改めて、ワーグナーの長大なオペラを歌うって大変なのねぇ・・・と身をもって実感した。

そんなレッスンの合間に、ゴルデックから車で20分程のところにLiechtensteinklammという滝の名所があるというので行ってみた。



丁度8月15日の祭日に当っていたためか、相当な人手で、入場料を払う窓口は長蛇の列。多分、2,30分は待ったと思う。
そこは豊かな水量に削られた岩やダイナミックに切り立った狭い峡谷をの中に作られた遊歩道を奥にある滝まで歩いていくというコースで、想像以上の迫力に思わず声を上げるほどであった。
お近くを通られる方には、是非オススメの観光スポットです。

快適な気候の中で充実した日々を過し、とうとう最終のコンサートの日になった。
リハーサル中。響きが良すぎる会場!

前日に会場になるお城の中のホール(天井画と壁画で一杯の素晴らしいお部屋!)でリハーサルもし、暗譜もなんとか出来たけど、何となく精神的なゆとりの無かった私。
そんなわけで1曲目の歌曲も2曲目のトスカも、なんとなく不発で不満な出来だった気がする。
後になって思えば、最後のイゾルデのアリア(おまけにドプレッシャーなプログラムのトリ(°□°;)!)に神経が行き過ぎていたようだ。
その甲斐あってというか、結局はイゾルデが一番納得できる出来だったと思う。
コンサートに向けて勉強したことが100%とは言わないが、大部分反映できたと思う。
ピアニストの未来さんも素晴らしい演奏でサポートしてくれた。
まだまだこれからだけど、少しだけワーグナーの世界の入り口から一歩中に入れたような気分だった。

生徒それぞれが頑張って盛り上がったコンサート後は、先生のお宅で生徒それぞれが持ち寄った料理でパーティー。
ドイツ語、イタリア語、日本語、が飛び交って賑やかな夕べであった。
先生は・・・嬉しそうだった・・・と信じたい。

次回は長い夏シリーズ、最終回の予定~♪



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